顧客ニーズを正しく捉える企業だけが生き残る
顧客戦略 on 2007.05.23 05:26 by Bradnine
顧客ニーズという言葉はビジネスの現場で多く聞きますが、人々の価値観に合わせたニーズの変化を読み取る必要があります。過去の需要が不足していた状態から、現在の曖昧な「未定義ニーズ」までの変遷を確認しましょう。
モノが絶対的に不足をしている時代においては、「顧客ニーズ=持っていなこと」でした。例えば、車を持っていない人に対して車を販売する、人手が足りない会社に人材を派遣するなど、持っていない人に向けて不足分を埋めることが企業の役割となります。この時代には、顧客のニーズなどを考える暇があればその分一つでも多く生産・供給する事に力を注いだ方が有益という時期でした。
次第に不足していた必需ニーズが満たされるとともに、ニーズそのものが多様化してきます。「隣の家の人が白い車を買ったので、自分は赤が欲しい。ホイールを変えてもっとオリジナリティを出したい。」などの多様ニーズを満たすため、企業はそれぞれのニーズに対応できる製品を供給します。車であればオプションや車種を増やすことで、多様化したニーズを取り込めるわけです。
さらに現在は、ニーズがより曖昧な時代となっています。顧客自身がニーズを明確に定義できない未定義ニーズの時代ともいえます。製品やサービスの数そのものが圧倒的に増加し、さらにそれに伴う情報もインターネットなどにより莫大なものになったため、何が欲しいのか、どの製品が自分にとってメリットがあるのかを容易に判断できないようになっているためです。この未定義ニーズに対しては、企業側が顧客の購買を導く立場になります。例えば「かっこいいスニーカーが欲しい」とか「快適な生活をしたい」「複雑な仕事を効率化したい」などに対して、「自社製品を使うとこんな世界が待っている」というアプローチをとらなければなりません。従来のように「不足した需要を満たす」という発想とは全く違う、新しい価値の提案が必要になり、そのためには顧客のマスではないより詳しい情報が必要になります。
日本の企業は、モノを売ることには長い経験と大きな成果を上げていますが、購買に導く価値を売るということに対してはまだまだ歩み始めたばかりだと思います。海外メーカーでは、BMWはセクシーな大人のスポーティーなライフスタイルを売り、ナイキはスニーカーとは思えない程の値段です。ソニーは高機能でかっこいいデジタルウォークマンを発表しているにもかかわらず、アップルのiPodに水をあけられています。なぜかといえば、製品機能は競合にむしろ勝っているのに、購買価値を導くことができなかったためです。
また、顧客の心理的な変化も重要です。必需ニーズ~多様ニーズの時代においては、購買決定の心理は「ニーズ(Needs)・ウォンツ(Wants)」で表せます。必要なのか(Needs)、それとも欲しいのか(Wants)。しかし、多様ニーズ~未定義ニーズでは、
・ハブ(Have) = 車を買いたい
・ドゥー(Do) = 車に乗って通勤、ドライブしたい
・ビー(Be) = 休日に車でドライブに行く自分でありたい
というように心理的に細分化され、現在においては特に「ビー(Be)ニーズ」を満たすことが高い利益率や売上のアップにつながるわけです。



