ニッチで実利的なマーケットプレイス型SNSの「Stuart」。
日本でSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)といえば、mixiやgreeが有名だ。ある調査によると、ユーザーが利用しているSNSサイトはmixiが82.5%、greeが13.1%、その他10%未満という回答で、寡占と言うよりほぼ独占状態になっている。アメリカでは日本よりも多くのSNSサイトが存在するものの、利用者動向は日本と同様FriendsterやMySpaceといった幾つかのサービスに集中している。
「もしInternet Buzzword of the Year(インターネット・バズワード大賞)があるとすれば、SNSだっただろう」(Technology Review誌)と言うほど注目を集めるSNSだが、問題点は自身のビジネスモデルにある。(バズワード=よくわからないが凄そうなこと。)Friendsterはトップシェアだったにもかかわらず、急増するユーザーに対応しきれず度々機能停止に追い込まれ、さらには堅実なビジネスモデルの構築に苦慮した結果、買収先を探す事態にまで陥った。主たる収益源である広告収入のためには、招待制にもかかわらず多くのユーザーを集めなければならない一方で、トラフィックを支えるコストは増大していく。また、SNSが今のような単なるシステム提供(「場」の提供)ではなく、ユーザーにとってメリットのあるさらなる経験を作り出せるか、つまり飽きられないための仕組みを作れるかが最大のポイントとなる。日本のSNSも現時点では(ネット企業としては典型的な)脆弱なビジネスモデルへの過剰な投資という側面も拭いきれず、今後の化学変化に期待しているという雰囲気だ。
しかし、「人と人とのつながりをネット上でも」というコンセプトは個人的にも好きだ。mixiやMySpaceのように「誰でも」対象のサービスとは逆を行く、ニッチな、それでいて実利的な「マーケットプレイス型SNS」も登場している。その一つが「Stuart」である。

Stuartは、イギリスの美術コレクターであるチャールズ・サーチ氏が開設した。コンテンポラリーアート(現代美術)の価格は高騰しており、コレクターは次なる期待の星を見つける必要があるが、若手アーティスト一人一人のギャラリーを見て回る時間も限られる。若手アーティストは自らの存在を知らせる機会はほとんど無い。この両者のニーズを満たす解決策が「Stuart(Student + Art)」だった。
世界中のコレクターは気に入ったアーティストを見つければ、連絡を取って作品を入手することができる。アーティストは絞られた対象に向けて自らの宣伝を行うことができ、SNSによってアーティスト同士の情報交換も可能だ。一般的なSNSと比較して、ユーザーにとってかなり便益が大きい仕組みになっている。
サービス普及期における「楽しさ」や「便利」といった一過性の価値提供を超えて、ユーザーがサイトを使うことそのものに利益があるという機能が、ネットサービスの明暗を分ける今後の重要なポイントになるだろう。


